MICHELIN:エンバイロ社と、使用済みタイヤを原材料に変えるテクノロジー開発に向け提携 ~廃棄される毎年約10億本のタイヤを熱分解テクノロジーでリサイクル~

ミシュランは、使用済みタイヤをリサイクルする熱分解テクノロジー[※]の大規模な開発・事業化を目指して、スウェーデンに本社を置く「Enviro社」との提携を進めていると発表した。

タイヤ産業とその顧客にとって、リサイクルは大きな課題である。毎年、約10億本ものタイヤがその役割を終えているが、今回開発するリサイクルテクノロジーにより、使用済みタイヤが良質の原材料に生まれ変わるとのことである。

2001年設立の社員20名から成るスウェーデンの新興企業「エンバイロ」は、熱分解プロセスにおいてエネルギー消費を最小限に抑えながら、素材の化学的組成および、物理的状態を変化させるテクノロジーを開発した。この最先端の革新的なテクノロジーを利用して、再生カーボンブラック、熱分解油、鋼鉄など、他の産業分野の生産工程で再利用することができる生成物を生産することができる。このリサイクルテクノロジーにより、現在は廃棄物として処分されているタイヤも原材料としてリサイクルできるようになるとのこと。

ミシュランとエンバイロの提携は以下のように進められる。
・エンバイロの熱分解テクノロジーを大規模に展開するための開発契約の締結。
・エンバイロ株式の20%、すなわち1億1616万5223株を取得するため、ミシュランは、総額3252万6262クローネ(約300万ユーロ)を出資し、筆頭株主になる。ミシュランはエンバイロを支援するため、同社の取締役になる人員を派遣する予定で、株主総会に提案する。4月15日に株式引受手続きに署名をしている。
・同テクノロジーの事業化を進めるための工場建設共同プロジェクトを発足させる。工場の立地は検討中とのこと。
・ミシュランとエンバイロ間の相互供与契約の締結。

この提携により、両社は相互に補完し合うノウハウを持ち寄り、タイヤのリサイクルを加速させる。ミシュランは、自社の事業ノウハウを工場建設プロジェクトや研究開発・製造に活かし、エンバイロは特許権を取得している熱分解テクノロジーを提供することで、高品質の製品を生み出すとしている。

ミシュラン サービス&ソリューション ハイテクマテリアルビジネス部門 ディレクター Sonia Artinian-Fredouは、今回の提携に関して、次のように述べている。
「エンバイロとの提携は、ミシュランの“すべてを持続可能に”というビジョンに沿っています。2017年のリーハイテクノロジー社(ハイテクを活用して使用済みタイヤから微粉化粉末を抽出する専門事業者)の買収に続き、今回の提携も、ミシュランがリサイクルと持続可能なモビリティに長期的にコミットしていることの確かな証しです」

2020年の半ばまでの最終的な合意に向けて両社の話し合いが進んでいるとのこと。

[※] このテクノロジーでは有機化合物を急激に加熱することにより化学的に分解する手法が採られている。この手法により、対象の有機化合物にはもともと含まれていない新たな生成物を抽出することが可能になる。