YOKOHAMA:乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表

横浜ゴムは、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表した。
「SensorTire Technology Vision」では、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)から得られる情報を、ドライバーや外部の様々な事業者に提供することで、新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、人々の移動を足元から支え、安心・安全に持続的に貢献することを目指してるという。

具体的には、センシング機能とリアルタイム性を指標として提供するサービスを分類で、それぞれに適したセンシング機能やデータ分析・予測技術を段階的に構築し、センシング機能の利活用範囲の拡大を行う。まずは、個人向けや車両運行管理会社を対象とした空気圧通知サービスの実証実験から開始し、2023年までに摩耗検知機能を追加するとのこと。これにより、タイヤローテーション時期のお知らせやフリート(複数の車両を所有する企業や官公庁など)向けの効率的なタイヤ点検計画などの提案が可能となる。

さらに同社は、将来的に、地図情報や様々なプローブ交通情報(渋滞情報、天候情報)などとタイヤデータを関連付けて分析することで、安全な運行ルートの提案といった新たな付加価値情報を提供し、自動運転車両やMaaS※に関連したサービスを提供する会社などの安心・安全な車両運行管理をサポートすることも目指すとしている。
※Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。

同社は「SensorTire Technology Vision」の策定に先駆けて、2019年に開催された第46回東京モーターショーのプレスカンファレンスにおいて、アルプスアルパイン(株)との先進的乗用車用タイヤセンサーの共同開発を発表ている。今後は、タイヤもCASE※対応およびIoT化が必須と考え、CASE対応のための新技術開発を推進しており、CASEのConnected(コネクテッド)分野において、従来のタイヤ空気圧検知に加えて、摩耗や路面の状態を検知し、それらの取得データをデジタルツールで処理・管理していくソリューションビジネスの展開を視野に入れた研究開発をアルプスアルパインと行っていくとのこと。
※Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語

アルプスアルパインは、1948年に設立され、スマートフォン等の情報通信機器、車載音響機器、情報通信機器を中心に開発、製造、販売している、電子部品および車載情報機器メーカーである。センサー開発のほか、システム設計力やソフトウェア開発力を有しており、同社では、新しいタイヤビジネスモデルでのシナジー効果を期待してる。

同社は、2004年に、当時では国内タイヤメーカー初となる乗用車向けタイヤ空気圧モニタリングシステム「AIR watch(エアーウォッチ)」を開発し、2005年から限定発売を開始した。同商品は、2004年にグッドデザイン賞、2006年には日刊自動車新聞社が主催する「日刊自動車新聞 用品大賞2006」の機能用品・アクセサリー部門賞を受賞している。また、厳しいタイヤ管理が求められる運輸・輸送会社向けには「安全な輸送」、「輸送効率の向上」、「省燃費による環境貢献」を実現するトラック・バス用のTPMS(Tire Pressure Monitoring System)として「HiTES(ハイテス)」を2003年から発売している。「HiTES」から得たタイヤ運用履歴などを当社のタイヤ・マネジメント・システム(TMS)と連動させることで、運行傾向の分析やタイヤ点検時期のお知らせなどユーザーの総合的な車両運行管理のレベル向上と、リトレッドタイヤの推進に活用している。

「SensorTire Technology Vision」の概念
センシング機能とリアルタイム性の強化による提供サービスの向上イメージ