TOYO TIREは、2022年度の始業にあたり、清水隆史代表取締役社長より、同社社内に対して以下のとおり年頭訓示を行った。
【社長訓示要約】
昨年、当社は中計’21を公表した。差別化された強みをさらに磨き、特定の領域において圧倒的な存在感を確保すること。これまで十分に強化を図ることができなかった機能基盤を強固にすること。持たざるを強みとして発揮することで競争優位につなげていくこと。この3つがTOYO TIREの「企業力の源泉」であり、当社の事業経営の底流には「上質な利益向上」という独自の経営思想が流れている。
グローバルで収益構造の質を高めるベースは、商品にある。同業他社に比べ規模で劣後する当社は、差別化された技術によって、魅力のある高付加価値商品を開発し、喜ばれる商品をしっかり作り、しっかり届けるという「生産、販売、技術のギアが強力に噛み合う」ビジネスモデルを構築し、より存在感のある筋肉質な経営体質を確立していこうとしている。
中計の初年度である昨年は、コロナ禍によって依然厳しい諸環境にあったが、収益の柱である米国市場に本格的な大型SUV用大口径タイヤを優先供給し、重点商品販売比率を向上させた。結果として、期初計画を上回る収益の押し上げを実現し、一定の成果、手応えを掴むことができた。
本年、当社として8年ぶりとなるタイヤ新工場をセルビアで開所する。縮小均衡の模索が一部で進むタイヤ業界にあって新たな生産拠点を開業できること自体、当社には、他社にない新たな成長のジャンプ台が待っていることになる。事業ポートフォリオの中核である北米市場をバックアップし、質的な発展を実現する。
また、日・米・欧の3極R&D機能をフルに活用し、セルビア新工場での技術開発力強化、モビリティのEV化への積極的な取り組み、サステナビリティを見据えた次世代技術の具現化を進めるほか、各種レース参戦機会を積極活用した独自の技術研鑽にも取り組んでいく。
供給体制の充実が強力な武器となることから、「より存在感のある販売力の確立」を推し進める。すでに各市場では、重点商品販売比率で相当程度の水準を実現しつつあるが、引き続き、こだわりをもって販売活動を展開していく。
このように2022年は、生産、販売、技術、それぞれの機能組織とそれを横でつなぐコーポレート系組織が新しい世界戦略の絵を描いていくことができるフェーズに入る。
世界が共通課題として取り組む脱炭素活動は、過去の産業活動が生んだ負の遺産に対する挑戦である。理念に紐づけて整理した対処すべきサステナビリティテーマを社員一同、自分事として意識を揃え、本格的に取り組みを進めていく。
我々は、長く靄のかかった社会の中に立っているが、自然と晴れるのをただ待つのではなく、自ら、自分の視界を開いていく姿勢が必要だ。見定めている自分たちのありたい姿に向けて、躍動を始める年だと思う。2022年を「自ら視界を開き、躍動に臨む年」と位置づけ、一人ひとりが気高い意識をしっかりと持ち、力強く、歩みを進めていこう。