TOYO TIRES:「NANOENERGY M676」がLNGトラックを使用した実証走行をサポート

TOYO TIREは、三菱商事株式会社とエア・ウォーター株式会社がカーボンニュートラル社会の実現をめざして実施している、LNG(液化天然ガス)を燃料とする大型トラック(LNGトラック)の実証走行用タイヤとして、低燃費オールウェザータイヤ「NANOENERGY M676」(M676)を納入している。
同社は、M676を装着したLNGトラックの実証走行状況と、M676をはじめとする低燃費タイヤの開発技術を生かした同社の脱炭素に向けた取り組みについて発表した。

●CO2の排出を抑えるLNGトラック
カーボンニュートラル社会の実現に向け、乗用車ではEV・FCEV(燃料電池車)などの環境性能が高いクルマが続々と登場している。一方、大型トラックは、もともと重量があるうえ航続距離を確保しなければならず、大きなバッテリーを搭載すると充電に時間がかかるという問題があるため、EVへの切り替えはハードルが高いといわれている。
そこで、いすゞ自動車株式会社は、軽油よりも排出ガスがクリーンなLNG(液化天然ガス)を燃料とする大型トラックを開発した。このLNGトラックは、EVやFCEVでは達成が困難とされる1000km以上の連続長距離走行が可能なうえ、ディーゼル車両のトラックと比較して、都市間輸送時のCO2排出量を約10%削減したことが確認されている。LNGトラックは、カーボンニュートラル社会の実現へ貢献する次世代燃料トラックとして注目を集めている。また、三菱商事株式会社とエア・ウォーター株式会社は、小型可搬式LNG充填設備(以下、LNG充填ボックス)を共同開発し、2022年4月から北海道苫小牧市、6月から石狩市で、このLNG充填ボックスとLNGトラックを用いた実証事業を開始している。LNG充填ボックスは軽油の充填とほぼ同程度の時間でLNGを車両へ充填する事ができるめ、EV・FCEVトラックの充電・充填に時間がかかるという課題を解決する事ができる。この事業は、LNG充填ボックスとLNGトラックを使ってさらなるCO2排出量削減を図るもので、環境省の「令和3年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」にも採択された。同社は、この事業で運用されているLNGトラック14台中、13台に同社製タイヤ「NANOENERGY M676」を納入し、CO2排出量削減に向けた取り組みをサポートしていくとした。

●NANOENERGY M676
M676は、低燃費タイヤのグローバルブランド「NANOENERGY」シリーズのトラック・バス用オールウェザータイヤとして開発された。一般的にクルマの走行時には、タイヤが路面へ接しながら回転することで、常にゴムが変形し、この影響を受けてエネルギーロスが発生する。エネルギーロスを抑えることで転がり抵抗の低減につながり、燃費性能が向上する一方で、耐摩耗性能については悪化させてしまう場合がある。多くの物資を運搬するトラック・バス用のタイヤには「低燃費」と「耐摩耗」の相反する性能を高次元で両立させることが求められている。
M676は、同社独自のトラック・バス用タイヤ設計基盤技術「e-balance」や、材料設計基盤技術「Nano Balance Technology」を活用し、パターンや構造、材料など複数の技術要素を融合する事で、転がり抵抗の低減、摩耗ライフの向上に寄与。低燃費性能と耐摩耗性能をハイレベルで両立させているタイヤである。

●TOYO TIREの脱炭素への取り組み
同社は、サステナビリティ経営方針において、2030年までに、Scope1&2※1では、2019年比46%の削減、Scope3※2ではタイヤ1本あたり2019年比20%の削減を目標として掲げている。
タイヤの転がり抵抗が低減すれば、同じ距離を進むために必要な燃料の使用量も少なくなる。また、摩耗ライフが延びれば、全体的な交換本数が減り、タイヤ製造に関連して発生するCO2の削減にもつながる。同社は、より高性能な低燃費タイヤの研究開発、製造販売を行うことで、これからも脱炭素への取り組みを推進していっくとしている。
※1生産活動で排出されるCO2
※2原材料の製造や輸送、製品の使用など、生産活動以外で排出されるCO2