DUNLOP:耐摩耗性能向上につながる、ゴムの破壊に関する研究成果を発表

住友ゴム工業は、ライプニッツ高分子研究所(ドイツ・ドレスデン)※との共同研究により、いままで解明されていなかったゴム内部の「ボイド」と呼ばれる空隙(ゴム破壊の元)の発生からき裂発生までのメカニズムを解明し、その研究成果を発表した。
この研究成果により、従来と比べて優れた耐摩耗性能を持つゴムの開発が期待され「より性能が持続する」高性能タイヤの開発につなげていくとしている。
※1948年に紡績工場の繊維研究所として設立。ドイツ最大のポリマー研究施設のひとつであり、世界の主要な研究グループと共同研究を行なっている。

自動車産業を取り巻く環境が大きく変化するなか、同社は「さらに高い安全性能」、「さらに高い環境性能」を実現するためのタイヤ技術開発コンセプト「Smart Tyre Concept」を掲げている。
今回の研究成果は「Smart Tyre Concept」の方向性のひとつである「性能持続技術」につながるものである。

タイヤの摩耗現象の一因であるゴムの破壊は、ゴム内部の分子切断や「ボイド」形成によるき裂の成長によるものと考えられていたが、明確には解明できていなかった。そのような中で、同社は、合成ゴムの「ボイド」の発生観察に取り組んだ。
2015年、同社は新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を活用して「ボイド」の発生を構造シミュレーションで解明し、その発生を抑える技術を確立した。今回の研究成果は、実際の合成ゴムを用いた2種類の実験からゴム内部の力学的挙動を観察したことによるもので、ゴムの粘弾性をコントロールすることで耐久性の高い材料の開発につなげることが可能となる。