TOYO TIRES:トラック・バス用タイヤの使用状態推定モデルを構築

TOYO TIREは、トラックやバスなど、運輸車輌の個別運行状況に応じ、装着されているタイヤの状態変化をはじめ、走行環境情報を自動的に収集し、蓄積するシステムを開発したと発表した。また、このシステムで収集したデータに、個々のタイヤの既定情報や、天候データなど外部情報を加え、AIを駆使して、タイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築した。

■ロジスティクスを支える新しいメンテナンス・ソリューション
運輸事業に携わる多くの事業主は「より安全にかつ効率的にロジスティクスを支える」ということを経営の主眼とし、合理性の追求という課題にさまざまな側面から取り組んでいる。
「適切なメンテナンスを適切な時期に実施すること」が安全と効率の両立につながることから、保有する複数台数の車輌について、それぞれ異なる運行状況を適正に把握し、よりこまめな点検を遂行するため、社内や社外のリソースを投入して対策されているのが現状である。
同社は、タイヤメーカーとして、タイヤのメンテナンスという側面から、ロジスティクスの安全と効率を充足するアプローチについて、その可能性を探索してきた。
特に運輸業界においては、1~3カ月ごとに、人が計測機器を用いて1本ずつタイヤの溝の深さを測定、摩耗の点検をされていることから、新しいソリューションとして、実測することなく適正にタイヤ使用状態を管理、メンテナンスしていくことができる推定モデルを実現した。
同社は、今後、これを運輸事業向けのビジネスモデルとして構築し、タイヤメーカーならではのメンテナンス・サポートの確立を進めるという。

今回のメンテナンス・ソリューションは、今後、タイヤの寿命を長持ちさせるような使用方法(交換ローテーションや最適運行ルートの提示、運転方法のアドバイスなど)や、ユーザーのニーズに合ったタイヤの提案など、安全やコスト低減といった課題解決にもつなげていくことができると考えているとのこと。

■トラック・バス用タイヤ 情報自動集積システム
同社は、トラックやバスなど運輸車輌のホイールに装着したセンサー(TPMS*1)によって、空気圧や内部温度といったタイヤの状態をデータとして自動収集し、また、全地球測位システム(GPS)によって得られる位置情報や車輌の加速度情報などと合わせて、リアルタイムでクラウドに蓄積する独自の情報集積システムを開発した。
これは、個別の車輌運行状況によって異なるタイヤへの負荷や経年変化について、その推定確度を高めるのに必要な情報を、適切かつ自動的に収集、蓄積されるようシステム化したもので、同社は、この生きたデータを運輸事業者の車輌メンテナンス管理に活用していくという構想を具現化してくという。
*1)TPMS:Tire Pressure Monitoring Systemの略。送信機を内蔵したセンサーで走行中のタイヤの空気圧や内部温度の監視を行なうシステム。

■トラック・バス用タイヤ 使用(摩耗)状態推定モデル
情報自動集積システムに蓄積されたデータをもとに、より高い精度でタイヤの使用状態を推定し、把握できるように、タイヤそのもののマスター情報をはじめ、外部データベースから取得した天候データなどを統合するとともに、AI技術を用いてデータ解析処理を行なう。
同社は、実証実験を重ね、運行状況によって異なる各運輸車輌のタイヤ使用状態、つまり、タイヤの摩耗進行度合いを、個別に実測することなくデジタル環境の中で推定することができるモデルを構築した。

メンテナンス・ソリューションの概念図