ブリヂストンは、熊本大学大学院先端科学研究部の松田俊郎准教授との共同研究により、公共交通の持続可能な発展に貢献するEVバス専用タイヤのプロトタイプを開発したと発表した。
同社は「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げている。その実現に向けて、コア事業である、足元のタイヤ・ゴム事業のさらなる強化と、さまざまなイノベーションを基盤とした、画期的なソリューションを通じて、顧客価値を提供するとともに、安全・安心なクルマ社会の実現と進化するモビリティ社会・サーキュラーエコノミー・CO2削減などに貢献するとしている。
地球温暖化は、グローバルな社会課題であり、環境規制を背景にCO2排出量が少なく環境性能に優れたEV車輌の導入が急務となっている。一方、主要な公共交通である路線バス用のEV車輌は、未だ価格が高く、タイヤを含めたトータルコストを下げることが課題になっている。そこで同社は、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」※1の協力者として、2018年より熊本大学をパートナーとしたオープンイノベーションを推進し、EVバス普及に貢献するソリューションの構築を目指してきた。
同社は、2018年に開始した熊本市での実証試験において、熊本大学のEVバスへの知見と、同社のタイヤ開発の技術を組み合わせることで、タイヤの転がり抵抗の低減がEVバスの回生エネルギーの増加に繋がり、EVバスの電費削減が可能となることを確認している。
今回開発したプロトタイプは、EVバス運用時のトータルコスト削減を目的として、EVバス専用タイヤに求められる性能を追求したタイヤとなっている。新しい溝形状の採用により、これまでの路線バス用のタイヤ※2と比べて、摩耗ライフを維持しながら、ウエット・雪上路面でのトラクション性能を向上させ、転がり抵抗を20%低減することで、EVバスの走行に必要な電気エネルギーを10%削減することが可能となり、1年間で約5万円の電費削減※3によるコスト削減効果が期待できる。
今後、2020年10月に開始した横浜市での実証実験の場等を活用し、コスト削減効果の確認に加えてEVバス特有の車輌制御とタイヤのマッチングについての評価を行ない、EVバス普及実現に向けての検証を推進するとした。
※1・CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/cpttv_funds/外部リンク
※2・低床路線バス向けリブラグタイヤ V-STEEL RIB LUG G623
https://tire.bridgestone.co.jp/tb/truck_bus/catalog/truck_bus/rib-lug_bus/g623/index.html外部リンク
※3・充電効率90%、電気料金15円/kWhを前提とした際の熊本大学の知見に基づく算出結果
https://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/sizen/20201028外部リンク