伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)は、事業投資先の天然ゴム加工会社「PT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア 南スマトラ、以下「ABP」)」、タイヤ卸・小売事業会社「EUROPEAN TYRE ENTERPRISE LIMITED(本社:英国 レッチワース、以下「ETEL」)」のバリューチェーンを活用し、天然ゴムのトレーサビリティ、サステナビリティの実現を目指す取組「PROJECT TREE」(以下「当プロジェクト」)の商用展開を開始すると発表した。
第一弾として「Pirelli & C SpA.(本社:イタリア ミラノ)」の英国法人「Pirelli UK」協賛の下、 12月より英国市場での販売を開始する。また「Hankook Tire & Technology Co., Ltd.(本社:韓国 ソンナム)」も今後、当プロジェクトに参加予定とのこと。
天然ゴムは、世界消費量の約70%がタイヤに使用される、生活に欠かせない天然資源である一方、タイやインドネシアなどの東南アジアを中心とする、世界生産量の約85%を小規模農家に依存している。世界的なモータリゼーションによって、今後も天然ゴム需要の拡大が見込まれる中、森林減少や小規模農家の権利侵害・貧困問題といった課題により、一層配慮した事業活動は不可欠となっている。
伊藤忠商事は、インドネシア天然ゴム加工大手である「ABP」や欧州最大級のタイヤ小売・卸販売会社を持つ「ETEL」を通して、天然ゴム関連ビジネスに深く関わっており、当プロジェクトは、総合商社ならではのグローバルで幅広いバリューチェーンを活かした取組である。当プロジェクトにおけるブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が開発し、天然ゴム業界初の試みとなる。
「ABP」が調達する天然ゴム原料は、当該システムのスマートフォンアプリによって、取引内容・日時・位置情報などがブロックチェーン上に記録され、地図上に表示される。その後「ABP」工場内で加工され、原産地情報付きの天然ゴムとしてタイヤメーカーへ販売される。そこで生産される協賛タイヤの売上の一部から、原料サプライヤーへ対価を支払う仕組みを実装し、スマートフォンや銀行口座を持たない小規模農家に対しては、農具・肥料や生産性向上のための研修を提供する。加えて、国際NGOのProforest、SNVによるコンサルティング・監査を受けながら、サプライチェーンにおけるリスクアセスメントの結果に基づく改善計画も順次実行する。当プロジェクトは、同業の天然ゴム加工会社や、タイヤ卸・小売・自動車メーカー、消費者等、天然ゴムに関わる全てのステークホルダーに広げていく構想であり、協賛するタイヤ製品は、環境意識の高い欧州地域から順次世界展開を目指すとしている。また、持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム「Global Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)」のポリシーおよび、目標達成に貢献する事も期待されている。
伊藤忠商事は、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針に『マーケットインによる事業変革』と『「SDGs」への貢献・取組強化』を掲げている。また、同社は、当プロジェクトを通じて、当社の天然ゴムバリューチェーンの強靭化を実現するとともに、天然ゴム産業全体のサステナビリティ化に貢献していくとしている。