BRIDGESTONE:AI画像診断を用いた「パラゴムノキ」の高精度病害診断技術を株式会社電通国際情報サービス(ISID)と共同開発  ~罹病木判定に関する暗黙知とAIの融合による天然ゴム安定供給に向けた取組み~

ブリヂストンは、株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)と共同で、AI画像診断を用いたパラゴムノキの高精度病害診断技術を開発した。
タイヤ原材料となる天然ゴムは「パラゴムノキ」から生産されており、同社は、パラゴムノキの病害リスク低減による天然ゴム資源の持続的な安定供給に向けた研究開発に取り組んでいる。今回、ドローンによる空撮画像をもとに、現地農園スタッフによる木の病害判定(罹病木判定)に関する「暗黙知」とAI画像診断技術を融合した病害診断技術の運用試験を開始し、根白腐病(White Root disease: WRD)の罹病木を見分けることに成功した。

ドローン撮影とAI画像診断を用いた「パラゴムノキ」高精度病害診断技術のイメージ

パラゴムノキの根白腐病は、根に発症して見分けにくく、放置すると木が枯れてしまうため、天然ゴムの収量への影響が大きい病害であり、有効な対策がなく、拡大する傾向にある。
これまでの病害診断は、根白腐病の罹病木に表れる葉のつき方や色味など「葉群」の特徴を当社農園スタッフの「暗黙知」で総合的に判断し、罹病木と判定されたものを掘り起こして実施されるため、個々のスタッフのスキルによって診断精度のバラつきがあった。

今回開発した高精度病害診断技術は、同社農園スタッフの「暗黙知」である「葉群」に注目した判定を学習させたISIDの画像解析AIにドローンで空撮した農園の俯瞰画像を取り込み、根白腐病の罹病木を広域な農園内から迅速かつ高精度に見つけ出すことを可能にする。
本診断技術は、現地自社農園で運用試験を開始しており、これまで農園スタッフの熟練度によって精度にバラつきのあった罹病有無の判定を品種や樹齢に関係なく、約90%の精度で実施可能であることを確認している。これにより、収量に影響が出る前の早期に根白腐病の罹病木に手当てすることができ、ゴム農園の生産性向上に貢献するという。

2050年には全世界の人口が96億人にも達し、自動車の保有台数も24億台を超え、タイヤ生産に必要な材料の量が増えていくと予想されている。現在タイヤ原材料となる天然ゴムは「パラゴムノキ」から生産されており、産地が東南アジアに集中していることから、病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題になっている。この課題を解決すべく、同社は、天然ゴム資源の拡充に向けた取組みとして、パラゴムノキ由来の天然ゴムの生産性向上に向けた研究開発を推進している。

同社は「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げている。そして、事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに進めていくため、新たな環境中期目標「マイルストン2030」を設定した。イノベーションでソリューションを提供し、安心・安全な移動を支えると共に、再生可能資源、再生資源をより広く活用しながら サーキュラーエコノミー・CO2削減に貢献するなど、環境へのインパクトをさらに改善していくとしている。今後も同社独自のゴムに関する知見とデジタルを融合させることで技術イノベーションを進化させ、様々なパートナーと連携しながら価値を共創していくとのこと。