BRIDGESTONE:沖縄美ら島財団との共創を通じてイルカを救う

★尾びれを損傷したイルカ「サミ」の人工尾びれを開発、仲間たちとの共生を支援★

ブリヂストンと一般財団法人沖縄美ら島財団(「美ら島財団」)は、美ら島財団が管理・運営する沖縄美ら海水族館(「美ら海水族館」)で飼育されている、尾びれを損傷したミナミバンドウイルカ(愛称「サミ」)の人工尾びれを開発した。これにより、「サミ」が生き物としての尊厳を保ち、仲間たちと共生していくことを技術の力で支えるとしている。

◆取り組みの背景と経緯
「サミ」は1999年に誕生した雌のミナミバンドウイルカで、これまで21年もの間イルカショーに出演してきた美ら海水族館の人気者である。2020年9月に、尾びれの損傷に起因する感染症により尾びれが壊死し、治療過程で尾びれの一部切除を余儀なくされた。切除後も治療と並行してリハビリテーションを実施したが、遊泳への支障が確認された事から、将来にわたる健康面の問題や、他のイルカと一緒に泳ぐことができないことによる社会性の喪失が懸念された。2004年に美ら海水族館のイルカ「フジ」のために、人工尾びれを開発した実績のあるブリヂストンと美ら島財団は再び協力し「サミ」がイルカ本来の泳ぎを取り戻すことを目指して、2021年11月に「サミ人工尾びれ開発プロジェクト」を発足した。

◆人工尾びれの開発について
今回開発した人工尾びれは「サミ」の尾びれを保護する「ソケット・クッション材」、遊泳時に推進力を得るための「ゴム製尾びれ」、そして「サミ」の動きをゴム製尾びれに伝える「板バネ」から構成されている。

一部切除後の「サミ」の尾びれは、平均的なミナミバンドウイルカの約20%程度の大きさになっていることに加え、尾椎骨折や腱の一部断裂により複雑な形状をしている。人工尾びれには、損傷部を保護するための構造設計、「サミ」の負担を軽減するための軽量化、本来の尾びれのような柔軟性と剛性という二律背反の性能を両立することが求められた。ブリヂストンの開発チームは、美ら島財団より「サミ」のCTスキャンやバイオロギングから取得したデータの提供を受けて人工尾びれの構造設計を行うとともに、柔軟性と剛性を両立するゴム配合の検討を重ねた。両者による1年以上におよぶ開発・施策・訓練の結果、2022年12月に実施した装着テストにおいて、「サミ」の遊泳能力が大幅に向上することが確認された。

なお、今回開発した人工尾びれには、ブリヂストンが再生可能資源の拡充に向けて事業化を目指す「グアユール」由来の天然ゴムや、マテリアルインフォマティクスを活用して開発を進めている、しなやかさと強靭さを両立する新素材「ダブルネットワークゴム」、再生カーボンブラックなどのリサイクル材料など、タイヤへの適用拡大が期待される最新の技術や知見が採用されている。

現在の「サミ」は、水族館での継続的なリハビリの成果により、尾びれを一部切除した当時に比べ遊泳能力が大きく向上しただけでなく、イルカの社会性を示す仲間とのふれあい行動(ラビング)も観察されるようになった。美ら島財団では引き続き、人工尾びれを用いたリハビリ・遊泳訓練を継続し、「サミ」の生活の質のさらなる向上に取り組んでいくとしている。