横浜ゴムは、グローバルフラッグシップタイヤの新商品として、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ「ADVAN Sport V107」を、2022年3月より全世界で順次発売する。
発売サイズは2022年3月に305/35R23 111Y XL~225/40ZR18 92Y XLの30 サイズを計画とのこと。また、新車装着用を含めたサイズ数は、43サイズになる。その後も順次サイズ拡大を行い、2022年末では、新車装着用を含めて約80サイズとする計画であるという。価格はオープンプライスとなる。
YOKOHAMA:高性能ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD09」を新発売
BRIDGESTONE:タイのテニスボール事業会社 全株式売却
ブリヂストンは、2021年2月16日に発表した中期事業計画(2021-2023)において、ポートフォリオ経営を推進し、多角化事業については、事業再編などを通じ、シャープにコアコンピタンスが活きる事業にフォーカスすることを発表した。その上で、経費・コスト構造改革とプレミアムビジネス戦略の推進からなる「稼ぐ力の再構築」をベースに、戦略的成長投資を進め、環境変化に対応しながら着実に成長する“強い”
ブリヂストンへの変革を目指している。
その一環として、同社は、国内グループ会社であるブリヂストンスポーツ株式会社(以下「BSP」)が保有するブリヂストン テクニファイバー シーオー リミテッド(以下「BSTF」)の全株式に関し、ヨネックス株式会社(以下「ヨネックス社」)に売却することを決定した。売却価額は非公開。なお、BSP のテニス事業については 2020年12月31日をもって既に撤退している ※1。
※1:2020年4月21日 BSP発「テニス事業撤退に関するお知らせ 」参照
BSTF とその再編の概要は下表の通り
所在地:タイ チョンブリ県
事業規模:売上高、約 545 百万バーツ(約1864百万円※2、2020年実績)
従業員数:608人(2021年10月末時点)
事業内容:テニスボール製造・販売
再編の概要:全株式売却 2021年12月末までにヨネックス社に全株式売却予定 ※3
拠点数:1
※2 1バーツ=3.42 円で換算
※3 BSP出資比率:約 86.8%
YOKOHAMA:AIを活用したタイヤ特性値予測システムを独自開発
横浜ゴムは、2021年12月、AIを活用したタイヤの特性値予測システムを独自に開発し、タイヤ設計において実用を開始した。これにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、より高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者によるタイヤ設計が容易になることが期待できるとしている。
今回のシステムは、同社が、2020年10月に策定した、AI利活用構想「HAICoLab※(ハイコラボ)」に基づいて開発。人がタイヤの設計パラメーターである構造や形状に関する仕様データ、コンパウンドなどの物性値に関する材料データ、評価条件を入力すると、予測されるタイヤ特性値をAIが出力する。また、このシステムでは、タイヤ設計で起こりがちなAIの予測精度の低下を抑制している。内部構造が異なるタイヤでは、設計パラメーターの種類や数が異なるため、AIの学習に利用する全データを構造特徴に合わせて細分化して使い分ける必要があるが、学習データの細分化によって、AIの予測精度が低くなることが少なくない。そこで、関連する他の領域で学習したAIの予測能力を移植(転移学習)することによって予測精度を向上させている。
※Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込めました
同社は、2020年12月に、AIを活用したタイヤ用ゴムの配合物性値予測システムを実用化している。今後は、今回のタイヤ特性値予測システムと組み合わせることで、多岐にわたるタイヤ商品開発に利用していくとしている。
「HAICoLab」は人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした“人とAIとの協奏”によってデジタル革新を目指す構想。人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集とAIによる予測・分析・探索を繰り返すことで未踏領域での知見の発見を目指す。同社はこれまでにも、2017年にマテリアルズ・インフォマティクスによるゴム材料開発技術、インフォマティクス技術を活用したタイヤ設計技術を発表するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を進めてきた。現在は「HAICoLab」の下、プロセスに加え製品やサービスなどの革新を目指しAI利活用を推進している。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上および、内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献するとのこと。
DUNLOP:日本政策投資銀行の「DBJ環境格付」で最高ランクを取得
DUNLOP:乗用車向け『タイヤ空気圧・温度管理サービス』の提供を開始
住友ゴム工業は、乗用車向けのタイヤ空気圧や温度をリモート監視する『タイヤ空気圧・温度管理サービス』を、12月2日から、福岡県のタイヤセレクト直営店2店舗(福岡西店・筑紫野店)で提供を開始すると発表した。
対象条件※でタイヤ4本を購入し「パンク安心保証プラン」に加入したユーザーを対象に、業界初となる、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)とパンク保証サービスのセットを、各店舗先着100名に提供する。
1台分のセットプランには、TPMS(4つ)・LED付きUSBデバイス・専用アプリがつく。
近年、セルフ方式のガソリンスタンドの増加や、電気自動車の普及が進むことによって、タイヤがプロの目に触れる機会が減少し、空気圧の過不足を早期に発見することが難しくなってきている。同社は、今回提供を始める『タイヤ空気圧・温度管理サービス』によって、タイヤ空気圧を適正に維持することで、パンクの原因のひとつである空気圧不足を防ぎ、安全・安心なドライブに貢献するとともに、燃費や走行性能の向上に寄与するとしている。
このシステムでは、TPMS装着車両のタイヤ空気圧や温度に異常が発生した際に、車載のUSBデバイスのLEDが赤色に点滅してドライバーに知らせる。知らせを受けたドライバーは、速やかに安全な場所に車両を停車させ、スマートフォンの専用アプリで異常が発生したタイヤの位置と詳細なタイヤ空気圧や温度情報を確認できる。専用アプリでは、空気圧や温度の状態を適正(青色)・低い(赤色)・高い(黄色)の3段階で表示する。また、スマートフォンで確認した空気圧データはクラウドに蓄積され、過去の履歴を確認することも可能とのこと。
今後、CASE/MaaSといった自動車業界の変革によって、メンテナンスフリーやタイヤ状態のリモート監視の需要はさらに高まっていくと考えられており、同社では、そのような環境変化に対応すべく、安全性能・環境性能を一層高めたタイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプトである「SMART TYRE CONCEPT」を掲げている。さらに、同社は、周辺サービス展開のひとつである『タイヤ空気圧・温度管理サービス』を展開することで、安全で事故のない社会づくりに貢献していきたいとしている。
■『タイヤ空気圧・温度管理サービス』概要■
対象商品:夏タイヤ/オールシーズンタイヤ
保証対象:TPMS付帯プラン・パンクしたタイヤ1本のみ
プレミアムプラン・パンク本数に関わらず4本全て交換
保証期間:TPMS付帯プラン・3年
プレミアムプラン・2年
保証回数:TPMS付帯プラン・1回
プレミアムプラン・1回
保証料金(税込):TPMS付帯プラン・4,400円
プレミアムプラン・4,400円~16,500円(タイヤ購入金額によって異なる)
※「タイヤ4本」と「パンク安心保証プラン」の合計金額が60,000円(税込)に達した方に限る。また、装着後アンケートに要回答。
BRIDGESTONE:鉱山車両用タイヤソリューションプロバイダー Otraco 社の買収完了
ブリヂストングループは「2050 年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」をビジョンとして掲げ、中期事業計画(2021-2023)※1において、「戦略的成長投資」を実行し、ソリューション事業のグローバル展開を加速していくことを発表している。特に鉱山タイヤ・ソリューション事業については、積極的にリソースを投入し継続的に強化・拡大すべき重要事業として位置づけている。
その一環として、ブリヂストンのグループ会社である、ブリヂストン マイニング ソリューションズオーストラリア ピーティーワイ リミテッドは、規制当局の承認その他必要な手続きが完了したため、鉱山車両用タイヤ(ORタイヤ)のソリューションプロバイダーである、 Otraco International Pty Ltd (以下Otraco社)の、Downer EDI Limitedからの買収 ※2を、2021年12月1日に完了した。買収価額は、企業価値79 百万豪ドル(約66億円※3)に、Otraco社の運転資本等に係る調整を行った金額である。
Otraco社は、オーストラリア、チリ、南アフリカなどの鉱山に同社の熟練技術者が常駐し、独自のデジタルプラットフォーム(Otracom)を活用したORタイヤのライフサイクル管理サービスを提供している。
ブリヂストングループは、独自の鉱山タイヤ・ソリューションをグローバルに提供し、鉱山事業者様の安全で効率的なオペレーションを支え、生産性の向上に貢献することを目指している。また、それらの活動により、CO2の削減・資源生産性向上といったサステナビリティの課題へも取り組んでいる。
今回の買収は、グローバルでリーディングポジションにある、ブリヂストングループの鉱山事業者様向けオンサイトサービスのネットワーク拠点を拡充、Otraco社が提供するソリューションとのシナジーにより、鉱山タイヤ・ソリューション事業を強化するものである。
なお、2021年12月期のブリヂストングループ連結業績予想に与える影響は軽微とのこと。
■Otraco社概要■
1.会社名:Otraco International Pty Ltd
2.本社所在地:オーストラリア連邦 クイーンズランド州 ブリスベン
3.代表者:Gregory Glennon
4.従業員数:約 860 名(2021年3月31日現在)
5.資本金:2,630,919 豪ドル(2021年3月31日現在)
6.事業内容:鉱山車両用タイヤの保守・点検・その他包括的管理
PIRELLI:ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールドインデックスおよびヨーロッパインデックスに選定
ピレリは、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールドインデックスおよび同ヨーロッパインデックスの自動車および関連部品セクターにおいて高い評価を受けた。S&Pグローバルによる年次評価によると、ピレリは、所属するセクターの平均値31に対し77ポイントというセクター中トップクラスのスコアを獲得した。特に、ガバナンスおよび経済、イノベーション・マネジメントと課税に関するポリシー、環境の管理、気候変動対策においてトップクラスの評価を得た。
最終的に、ピレリは社会的環境面において最高のスコアを獲得した。
ピレリExecutive Vice Chairman and CEO マルコ・トロンケッテイ・プロヴェーラのコメント:
「ピレリが今年もダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・インデックスで高い評価を得たことは、ピレリの持続可能性へのコミットメントを示しており、会社として誇りに感じています。我々にとって持続可能性は、ビジネスモデルや成長戦略であり、そして何よりもすべてのステークホルダーへの価値創造における絶え間ない改善を行う挑戦です」
Global Head of ESG Research, S&P Globalマンジット・ジャス氏 のコメント:
「ピレリがダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールドインデックスおよびヨーロッパインデックスに選定されていることを喜ばしく思います。 DJSIに選定されることは、産業界におけるサステナビリティ・リーダーの証です。2021年Corporate Sustainability Assessment(CSA、コーポレートサステナビリティ評価)に過去最多数の企業が参加していることは、ESG情報開示と透明性への動きが拡大していることを示しています」
1999年に開始されたS&Pグローバルのダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスは、世界レベルでの持続可能性に関する最も重要な株式市場インデックスのひとつです。その年次分析は、10000社の企業を対象としている。
ITOCHU:世界初ブロックチェーンを活用した天然ゴムトレーサビリティ 「PROJECT TREE」の商用を開始
伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」)は、事業投資先の天然ゴム加工会社「PT. Aneka Bumi Pratama(本社:インドネシア 南スマトラ、以下「ABP」)」、タイヤ卸・小売事業会社「EUROPEAN TYRE ENTERPRISE LIMITED(本社:英国 レッチワース、以下「ETEL」)」のバリューチェーンを活用し、天然ゴムのトレーサビリティ、サステナビリティの実現を目指す取組「PROJECT TREE」(以下「当プロジェクト」)の商用展開を開始すると発表した。
第一弾として「Pirelli & C SpA.(本社:イタリア ミラノ)」の英国法人「Pirelli UK」協賛の下、 12月より英国市場での販売を開始する。また「Hankook Tire & Technology Co., Ltd.(本社:韓国 ソンナム)」も今後、当プロジェクトに参加予定とのこと。
天然ゴムは、世界消費量の約70%がタイヤに使用される、生活に欠かせない天然資源である一方、タイやインドネシアなどの東南アジアを中心とする、世界生産量の約85%を小規模農家に依存している。世界的なモータリゼーションによって、今後も天然ゴム需要の拡大が見込まれる中、森林減少や小規模農家の権利侵害・貧困問題といった課題により、一層配慮した事業活動は不可欠となっている。
伊藤忠商事は、インドネシア天然ゴム加工大手である「ABP」や欧州最大級のタイヤ小売・卸販売会社を持つ「ETEL」を通して、天然ゴム関連ビジネスに深く関わっており、当プロジェクトは、総合商社ならではのグローバルで幅広いバリューチェーンを活かした取組である。当プロジェクトにおけるブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムは、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が開発し、天然ゴム業界初の試みとなる。
「ABP」が調達する天然ゴム原料は、当該システムのスマートフォンアプリによって、取引内容・日時・位置情報などがブロックチェーン上に記録され、地図上に表示される。その後「ABP」工場内で加工され、原産地情報付きの天然ゴムとしてタイヤメーカーへ販売される。そこで生産される協賛タイヤの売上の一部から、原料サプライヤーへ対価を支払う仕組みを実装し、スマートフォンや銀行口座を持たない小規模農家に対しては、農具・肥料や生産性向上のための研修を提供する。加えて、国際NGOのProforest、SNVによるコンサルティング・監査を受けながら、サプライチェーンにおけるリスクアセスメントの結果に基づく改善計画も順次実行する。当プロジェクトは、同業の天然ゴム加工会社や、タイヤ卸・小売・自動車メーカー、消費者等、天然ゴムに関わる全てのステークホルダーに広げていく構想であり、協賛するタイヤ製品は、環境意識の高い欧州地域から順次世界展開を目指すとしている。また、持続可能な天然ゴムのための新たなグローバルプラットフォーム「Global Platform for Sustainable Natural Rubber(GPSNR)」のポリシーおよび、目標達成に貢献する事も期待されている。
伊藤忠商事は、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針に『マーケットインによる事業変革』と『「SDGs」への貢献・取組強化』を掲げている。また、同社は、当プロジェクトを通じて、当社の天然ゴムバリューチェーンの強靭化を実現するとともに、天然ゴム産業全体のサステナビリティ化に貢献していくとしている。
BRIDGESTONE & MICHELIN:再生カーボンブラックの利用拡大を通じ、タイヤ・ゴム業界におけるサステナビリティの進化へむけて連携
ブリヂストンとミシュランは、2021年11月22日から23日に、オランダ・アムステルダムで開催される「Smithers Recovered Carbon Black Conference」※1にて、マテリアル・サーキュラリティに貢献する再生カーボンブラックの利用拡大についての公開討論に参加する。
世界では、毎年およそ10億本のタイヤがその役割を終えると推定される中、使用済みタイヤの原材料の再利用や、再生技術の研究が進められている。一方で、よりサステナブルなエコシステムを構築し、タイヤ・ゴム業界全体におけるマテリアル・サーキュラリティを実現するには、様々な障壁があるのが実態である。タイヤの重要な原材料であるカーボンブラック ※2に占める再生カーボンブラックの割合は、再生から使用にいたる循環が未確立であるため、世界全体で1%未満に留まっている。再生カーボンブラックの利用が拡大されることで、タイヤ・ゴム業界では、タイヤの性能を維持したまま石油由来の原材料の使用量を抑制することができると同時に、新品のカーボンブラックを使用した場合に比べ、製造時の CO2排出量を約85%まで削減することができる。
今回の公開討論において、ブリヂストンとミシュランは、カーボンブラックの再生技術の確立と新品タイヤ生産への利用拡大の展望について話する予定とのこと。そして、その実現に向けて、タイヤメーカー各社、カーボンブラックサプライヤー、そして再生資源への還元技術を持つスタートアップ企業など、タイヤ・ゴム業界にかかわる全てのステークホルダーとの連携の必要性を訴えるとしている。
今後、共同イニシアチブの一環として、サーキュラーエコノミーの実現に向けたタイヤ・ゴム業界としての取り組み方針の検討を促進していくとともに、2022年には両社から、再生カーボンブラックの利用拡大に向けた技術要件や課題と対策についての具体的な報告を行うとのこと。